とりあえず、学校へ行こう。
南君のコイビト。
服はまぁどうにかなりそうだ(布切れならいくらでもあるしな)。ご飯も…俺の分を少し分ければ充分だろう。
それよりも何よりも問題は…
「やっぱトイレとか風呂だよな…」 寝る場所なんかも問題なのだが、一番の問題はそこだ。トイレや浴槽なんて流石に作れないしな…と俺が真剣に悩んでいるというのに、渦中の人である千石はとても楽しそうだ。 「ねぇねぇ南!見て見てっ!消しゴムがこんなにでっかい!」 放っておくとどこに行くか分からないぐらいのはしゃぎっぷりで、千石は消しゴムの周りを跳び回っている。 「ん〜?なんか引っ込んだ!」 何ともならないから困ってるんだろうが!! あぁ…胃が痛い… 俺が真剣に悩んでいる事にようやく気付いたのか(気付くの遅すぎだろ…)、千石から提案が出た。 「あっじゃあさ!誰かの妹から人形用の家とか借りればいいじゃん?」 「んー…『お人形さんで遊びたいからちょっとお家を貸して☆』とか?」 「………」 確かに今の千石は人形サイズなので、人形用の家具などで充分だろう。借りれるのならとても助かる。…だが、俺がそれを頼むのはどう考えても… 「絶対変態だと思われるだろ…」 「大丈夫!俺は南が変態でも大好きだよ!!」 「フォローになってない…」 一番良い考えだとは思う。思う…けど…恥ずかしいよな、やっぱり。でも、他に良い方法が思い浮かばないし、そうするしか無いんだろうけど。トイレなんかは明かに何日も我慢出来るものでは無いし。 「誰か妹がいるヤツって部内にいたっけ?」 いくら俺が部長だとはいえ、みんなの家族構成までは頭に入っていない。確か東方にいたような…。 「千石を部屋に一人残しておくのも不安だしな…」 「あ、じゃあ俺も行くー」 あっさりと、さも当然だと言わんばかりに手を挙げてそう提案する千石に、俺は思わず頭を抱えた。 「そんな簡単に…どうやって行くつもりだ?」 「………」 あぁ、なんて単純なのだろう。 「鞄の中で大丈夫なのか?」 「うん、へーきへーき!」 きっとこいつなら大丈夫なんだろうな、と少し失礼な事を考えながらも、俺は決心した。 「じゃあ…一緒に行くか」
そんな訳で。俺と千石は部員名簿を求めて休み中の学校へ行く事になったのであった。 これから…本当にどうなるんだろな…。
(南の台詞に「…」が多い回)(2007.3.12up) |