※ユウジがウサギで光が猫の話です。色物注意。

 

 

 

 

 

 

俺は腹を立てていた。

 

「…なんやねん」
「別に、何でもないっすわ」
「何でもないならどっか行けや!」
「……」

原因は目の前の猫。ヒカルという名のそいつは一週間前にこの家にやってきた。
何でも野良猫だったのを小石川が拾ってきたらしい。
詳しくは知らんけど。
ちなみに小石川というのは俺の飼い主だ。
真面目すぎる気もするが、優しいし良いヤツだ。
まあそこは問題ではない。問題はこのヒカルなのだから。

普段はゲージに入っていて夜しか外に出してもらえない俺と違って、ヒカルは常に家の中を歩き回ることができる。正直かなり羨ましい。俺だって一日中走り回っていたいのに。
しかし俺は良い子なので、そんな文句を決して口には出さない(どっちみち小石川に俺の言葉は通じないのだけど)。

 

だからヒカルのことは気にしない…つもりだったのだが。

 

「お前の寝床は向こうやろ。さっさとここから…っておいコラ!ここで寝んな!」
「……」
「シカトすな!」

こいつはかなり嫌味なヤツだ。
ゲージから出れない俺を見下すようにずっと目の前に居座る。
それも1日だけでなく、毎日毎日。
トイレや食事以外、基本的にはその場を動かないほどの徹底っぷりだ。

クソッ、俺がウサギやからって馬鹿にしやがって!
俺だって今は何もでけへんけど、夜には自由に走り回れるんやからな!覚えとけよ!

イライラしながら見ていると、そんな俺を気にも留めていないヒカルが暢気にあくびをした。
その態度が余計に俺を腹立たせる。

「小石川!コイツ何とかせえ!」

どれだけ必死で訴えても、悲しいことに小石川には届かない。

それがあまりにも悔しかったので、後ろ足で地面を強く叩いてやった。

 

 

 

「ヒカルは…またユウジの所か。あいつらホンマに仲ええなあ」

 

 

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うさぎのユウジ先輩(家に来た順番的に)の事が好きでずっと傍にいたい猫のヒカルと、そのヒカルの行動がただの嫌がらせだと思い込んでいるユウジ。
ちなみに夜になると、部屋中を走り回れる嬉しさでユウジは昼間のことをすっかり忘れます。
ヒカルとも一緒にじゃれ合っちゃうよ。
で、また次の日に小屋の中でイライラするユウジ。エンドレス。
アホな子ほど可愛い。

(2010.1.11)