「南っ!今日はどこか寄って帰ろ!」 「あ、ああ」
部活が終わったら自分から誘おうと思ってたのに…と、朝からどうやって千石を誘おうか必死に考えていた南は、出ばなを挫かれて複雑な気持ちになった。
「どこか行きたい所でもあるのか?」 「んー?別にー?」
自分で提案したのだからきっと寄りたい場所があるのだろう。 「はい、南!半分こね」 「え、ああ」 ありがとう、と半分になったコロッケを受け取ったのはいいが、何かが違う、と思った。 「ねぇ、南」 「どうした?」 やはりここは自分が払うべきなのではないかと悩みつつも、手元の温かくて美味しそうな匂いを放っているそれを前に、誘惑に負けてコロッケを頬張っていると、ふいに千石がポツリと話し始めた。 「今日はありがとうね」 ずっと一緒にいてくれて。
「来年も再来年も、その先もずっとこうやって一緒に帰れるといいな」 そう囁いたのは独り言だったのだろうか。 「お前が嫌だって言っても、俺は離れる気なんてないからな」 その台詞に千石は笑みを深める。
「千石」 「ん?」 「誕生日おめでとう」
本日何度目になるのか分からないお祝いの言葉を告げると、嬉しそうな「ありがとう」が返ってくる。
+++++++ さり気に南国の誕生日ネタは初めてなんだなあとしみじみ。 千石さん誕生日おめでとう! (2008.11.25up) |