どうしよう、何をプレゼントすればいいのか、そればかり考えている間にとうとう当日になってしまった。 「日吉…?どしたの?」 一人物思いに耽っていたので、ジローが待ち合わせ場所にやってきた事に気付かなかった。すみません、ちょっとボーっとしてましたと謝ると、日吉にしては珍しCね、とジローが笑う。
「ホントにどうしたの?具合でも悪い…?」 心配そうに日吉の顔をジローは覗き込んだ。日吉は今日ジローに会ってから『すみません』しか言ってない事に気付き、大丈夫ですよ、と出来るだけ元気に返した。 「あ、そだ」 はいっ!とジローがポケットから小さな包みを出して日吉に差し出した。日吉が受け取ったのを確認すると、ねね、開けてみて!と嬉しそうな声が掛けられる。 「それね、俺とお揃いなんだよ!」 ほら!とジローが自分の携帯を掲げてみせると、確かに同じシンプルなストラップが付いていた。 「ありがとうございます」 ニコニコしているジローとは対照的に、日吉はとても気まずそうな顔で少し俯いていた。 「すみません」 申し訳なさでいっぱいになっている日吉を見て、ジローは微笑んだ。
「うん、知ってるよ」 「え…」 ここに来るちょっと前、ジローに届いたのは一通のメールで、その中には日吉が一生懸命悩んでプレゼントを選ぼうとしていた事と、悩みすぎて決める事が出来なかったといった内容が書かれていた。 「別に物じゃなくても充分だよ」 言葉を選ぶようにジローがゆっくりと話す。 「俺のためにいっぱい悩んでくれたって事が一番嬉Cよ」 だから気にしなくてもEからね、と少し気恥ずかしそうに笑うジローを見て、あぁ、やっぱり何でもいいから買っておけばよかった、と日吉は後悔した。 「あ!じゃあ俺のお願いを何でもひとつだけ聞くとか?」 日吉に戸惑い気味に聞き返されて、ジローはニヤリと返した。 「じゃあ…」 しばらく考えた後、改まった感じでオホン、と咳払いするジローの言葉の続きを、日吉は神妙な面持ちで待った。
「これからも、ずっと、一緒にいて」
一体どんなお願いが来るのかとドキドキしていた日吉は、ジローが遠慮がちに発した言葉に目を見開いた。 「無理…かな」 ずっと、とかそんなの言われても困るよね、と自分に言い聞かせるようにジローはへへっと笑った。その顔がとても寂しそうなのに気付いて、日吉は考えるよりも先に行動に出した。 「ひよ…」 ギュっとジローを抱きしめながら、日吉が続ける。 「ずっと、ジローさんの側にいますよ」 日吉はそう言うと、ジローをさっきよりも強く抱きしめた。決して離さないとでも言いたいかのように。
そんな心配をしなくても、ジローさんが嫌になっても絶対離さない、と腕の中の愛しい存在をしっかりと確かめながら心に誓った日吉なのであった。
+++++ ラスト。何だかまとまりの無い話ですな!(自分で言うな) まぁ日吉はジローの事を、ジローが思っている以上に大好きなんですよという事が伝わればそれだけで充分です。ここまで延ばしたくせに大した内容をかけなくてすみません… 遅すぎるメリークリスマスを貴女に。 (2008.2.14up)(バレンタイン…) |