「ごめん、遅れた!」 開口一番が謝罪の言葉だったことに日吉は少し笑いながら返した。 これからどこへ行くかと話し合っていると、日吉はジローの目線が自分の手元に釘付けになっている事に気付いた。手に持っている、大きな包みに。 「それ…」 出来ればもっともらしい言葉と一緒に渡したかったのだが、残念ながら日吉の頭の中には甘い言葉などどこを探しても見つからなかった。 「でっかいね!」 道行く人の邪魔にならないように道の端に寄ってから、ジローはしゃがんでガサガサと包み紙を開け始めた。 「わー!」 羊だ!モコモコ!と抱き枕を軽くバフバフと叩きながら喜んでいるジローの様子を見て、日吉は微笑む。 「他の人からも貰った事があるかもしれないと思って迷いましたが プレゼントを選ぶ時に他の人と被らないかという事が一番心配の元だったのだが、どうやらみんな同じように迷ったのか、意外と安眠グッズ類は貰った事が無いそうだ。 嬉しそうに抱き枕をモフモフしているジローの横で、思い切って選んで良かった、と日吉は安心した。
ジローはそのまましばらく羊をギュっとしていたのだが、そのうちだんだんと目がトロンとしてきた。 「やべ…何か眠くなってきたC…」 抱き枕にはラベンダーの香り袋が入っている。安眠効果の抜群のそれはジローにとっては寝てくださいと言わんばかりの条件だった。 「もう帰りますか?」 決して嫌味に聞こえないように優しく訊ねると、ジローは悲しそうに首を振った。まだ一緒にいたい…と眠気を誤魔化すように首を振る。日吉はその言葉がとても嬉しかった。
「じゃあ、ウチに来ますか?」
「え…」 別に他意はないのだが、言い訳のように日吉は早口で付け足した。 「行く行く!お邪魔します!」 頬を微かに紅潮させながら元気よく答える。さっきまでの眠気が嘘のようだ。
家でのんびり過ごすクリスマスもたまにはあってもいいですよね。 そだね。
+++++ 遅すぎる2つめ更新…。 (2008.2.13up) |